障害年金の配偶者加算
1 どのような制度か
障害年金の配偶者加算とは、障害年金を受給できることになった人に条件を満たす配偶者がいる場合に、障害年金に一定の金額を上乗せして支給する制度です。
受給者及びその家族からすると、もらえる年金の金額が上がって助かる制度です。
2 どの程度の金額が加算されるのか
配偶者加算の金額については、厚生年金保険法50条の2第2項に「加給年金額は、二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。」と規定されています。
物価や賃金の水準を反映して毎年決定される改定率を乗じて計算する仕組みになっているため、正確な金額は毎年確認しないといけません。
3 配偶者加算を得られる条件
配偶者加算が受けられる要件については、厚生年金保険法50条の2第1項に規定されています。
「障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によつて生計を維持しているその者の六十五歳未満の配偶者があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。」というのがその内容です。
この個所を読むと、まず1つ目の要件として障害等級の1級又は2級に該当することが必要であることが分かります。
次に、2つ目の要件として、配偶者が、障害年金を受給する権利がある人によって生計を維持されている必要があることが分かります。
さらに、3つ目の要件として、その配偶者が65歳未満でないといけないことが分かります。
なお、2つ目の要件である生計の維持については、厚生年金保険法50条の2第5項により、別途政令で定められています。
生計維持関係の判断は、同居の場合と別居の場合でも異なるので複雑ですが、最低限の目安として、配偶者の収入が年850万円未満であることが求められている点については抑えておく必要があります。
また、厚生年金保険法50条の2第4項では、後から配偶者が65歳になった場合などには、それ以降、配偶者加算を受け取る権利がなくなることが規定されています。
さらに、厚生年金保険法54条3項において、加算の対象となっている配偶者が、「老齢厚生年金(*年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上のものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、配偶者加算が支給停止されることが規定されています。
要するに、配偶者側が独自に年金を受給しているのであれば、わざわざ障害年金に加算を行う必要はないので、配偶者側が独自の年金を受給していないことが配偶者加算の条件となっているということです。